縦ではなく横の関係で、のびのびと腕を磨く。
経験者(一人親方出身) 甲島靖久

経験者(一人親方出身)

甲島 靖久YASUHISA KOJIMA

経験者(一人親方出身) 甲島靖久

新卒で入った工務店から1年目で独立して一人親方をしていたが、自分が目指す大工職人としての理想を求めていたところ、当時はまだ珍しいリフォームを手掛ける、先代が社長を務めていたハウジング重兵衛と出会う。現在はKENSHIの親方業・大工職人育成を兼務している。趣味はお菓子作り車のカスタマイズ

経験者(一人親方出身) 甲島靖久

お客様の顔が見たくて、一人親方をやめると決断

ここに来るまでは8年、一人親方をしていました。新卒で入った工務店は、棟梁の下に先輩が何人もいて、何ごとも入った順番を守るという方針がありました。仕事はハウスメーカーが多く、作業内容も決まっていて、何か月かすると新しく覚えることが減っていく。こっちは早く一人前になりたいのに、順番を守らなければならなくて「こんなの待ちきれない!」という思いがありました。1年目で周りを見て、次の1年もきっと変わらないと確信。これならば、順番は違うかもしれないけど、先に自分ではじめても問題ないのではないかと思い、社長に相談して独立しました

仕事は順調でしたが、当時は新築建売が多くて。似たようなデザインの家をどんどん建ててはすぐ次の現場ですから、そこに住むお客様に会うことも、住み心地を聞くこともない。

せっかく家を作るなら、もっとお客様とやり取りして、理想の家づくりを一緒にやりたいと思ったんです。KENSHIはリフォームがメインですから、まさにお客様が住んでいる家で、ダイレクトに関わりながら仕事ができますよね、「これだ!」と思いました。

経験者(一人親方出身) 甲島靖久

カスタマイズ自在でクリエイティブな現場 これぞ大工職人

現場では職人と後輩育成を同時にしています。一人親方時代にもどかしく感じたことですが、設計図を見て「使いづらそうだな」と思っても、設計と現場の会社が違うと、大工の知恵が家づくりに反映されないんです。今は、お客様とやりとりしながら希望を叶えられる。例えば、キッチンをアンティーク調にしたいという要望があれば、それっぽい壁紙などを使うだけではなく、作業場にある廃材などを組み合わせて、本物のアンティークのように、質感までカスタマイズすることができます。

今自分ができる技術アイデアを総動員して、お客様の頭の中にあるイメージが現実になるように、必要なら設計も変えて、一緒にクリエイトしていく喜びがある。限られた予算からお金をかけるべき部分もわかりますから「今はこれをやるべき」と、プロとして自分の言葉で伝えます。現場の後輩には、私のやり方が継承されていると思います。技術的なものは当然ですが、大工としての心のあり方というか、必然的に備えていないとならないものがありますので、これが当たり前なんだということが、伝わればよいと思っています。

経験者(一人親方出身) 甲島靖久

同志で仲間だから関係性はフラット それがKENSHIスタイル

一人親方時代との大きな違いは、後進の育成が仕事の中心になったことです。仕事が来た時点でもう、どう教えるかが頭に浮かび、何をするにも育てる前提で身体と頭が動きます。KENSHIは職人集団ですが、序列上下関係がない同志の集まり。まったくの新人で入ってきても、KENSHIとして1年経過すれば、それなりに現場仕事ができるようになります。私の場合は、そこからは、現場をともに乗り越える、頼りあう関係になるような感覚です。

私自身が、もともと厳しい上下関係が好みではないのもありますが、お互いの関係性が縮まったとしても、職人としては経験も知識も私の方が多い。フレンドリーにしたからといって、後進からの敬意がなくなるわけではないんです。あと以前との違いは、やはり会社組織としての力。間違いなく一人親方時代よりも金銭的・精神的に安定しています。一人親方はやったらやっただけ、というのはありますが、KENSHIは社員としての束縛感がないのに、新しく仕事を取ってくる心配が一切要らない。入社してから仕事がない日が一日もないのって、本当にすごいことです。

経験者(一人親方出身) 甲島靖久

ともに腕を磨いた仲間とともに大きな夢を追いかける

私は職人として、のびのびと安心して働きたい気持ちがあるので、そういう仕事場を求めました。ハウジング重兵衛とは、職人としてのあり方や生き方、自分の志と会社の志が、はじめからバチっとかみ合った。働いていると会社が伸び、自分の人生も開けるというサイクルのなか、あっという間の18年。すべてが同じではないと思いますが「同志」なんです。
同志になるには体験の共有が大切。大学で建築をかじった、バイトで大工をやったでも、入社したらKENSHIとしてゼロから磨き上げるから、同志で仲間になれる。縦よりも横の力があるほうがストレスなく職人を続けられると実感しています。

会社が大きくなって人が増えても、KENSHIのフラットな空気は変わらないでしょう。トップに職人をぎゅっとまとめる社長がいて、その下は広い円錐みたいな形の方がKENSHIらしい。将来は、KENSHIプロデュースの仕事が増えてほしい。「あのカフェのデザイン、KENSHIなんだって」と言われるような、メジャーな店舗を手掛け、街の中がKENSHブランドでいっぱいになるのが夢です。